広報とりで3月15日号(【こちら】)の冒頭には「(前略)再開発ビル内に、取手図書館を(中略)移設し、(中略)既存の取手図書館は廃止します」とあります。下方の「複合公共施設の5つの機能」には「①取手駅前図書館」として「ゆとりある快適な閲覧・学習スペースを多く確保した滞在型図書館」とあり、末尾の「想定事業費」には「運営:指定管理を想定」とあります。また、市の資料(【こちら】)4ページには「従来の貸出型図書館ではなく、好きな飲み物を片手に本を読める、ゆとりある快適な閲覧(学習)スペースを多く確保した『滞在型図書館』を配置します」とあります。
以上を文字通りに読めば、「移設」とは言いながら、「現在の取手図書館を廃止して、新たに再開発ビル内に(従来の取手図書館とは別な)『取手駅前図書館』を新設し、その運営を指定管理に委ねる」と読めます。指定管理を前提に施設を新たに整備するのだとすれば、図書館や施設の内実は受託企業の意向に沿ったものになりそうですね。さて、市の構想では「移設」後の図書館はどのように変貌するのでしょうか。説明して頂きたいものです。
現在、取手市には「図書館に指定管理を導入しない」という申し合わせがあります。私たちは、図書館を指定管理にすることには反対です。そのことは「取手図書館はどうなるのでしょうか?」(【こちら】)に長々と書きましたのでご参照下さい。また、そもそも再開発ビルに「図書館を核とした複合公共施設」を整備することに疑問を持っており、構想そのものを考え直してはどうか、と提案しています。
しかし、もし取手図書館を「移設」するのなら、取手図書館という財産を共有する市民として、その図書館資料と現在行っている各種サービスはそっくりそのまま「取手駅前図書館」に移転することを求めます。図書館に指定管理を導入して起きた事件の一つとして、ツタヤ図書館が外観や書籍の配置を大規模に変更したり郷土資料を含む蔵書を大量に廃棄して問題になったことが思い浮かびます。「移設」を機会に大規模な現状変更を目論むのはやめていただきたい。「移設」により取手図書館の現状が損なわれるならば、それは市民に対する不利益変更に当たり、私たちは容認できません。
そしてもし取手図書館を「移設」するのなら、せっかく広くなるのですから、書架のスペースも十分確保し、一般蔵書も増やしてほしいですね。図書館の機能の一つに「生涯学習の支援」があります。市はこの機能に当たる市民サービスが不足していることを認めています(市の資料(同上)2ページ)が、図書館はそのサービスを辛くも果たしている訳です。これには多様な書籍と「リファレンス」の力量を持った図書館職員が必要です。図書館は小児から高齢者まで誰もが利用するところです。「若者をメインターゲット」にする(市の資料(同上)2ページ)などといって、マンガや学習参考書ばかりがずらりと並ぶ、というような図書館は願い下げです。