(A街区再開発ビル内に整備する公共施設は、計画実態に合わせた議論必要)
3.15広報取手は「図書館を核とした複合公共施設」整備計画に想定事業費 総額40~45億円とあり、その時点での再開発事業全体の総事業費を143億円としていました。公聴会前の住民説明会では、その事業費は約24%増の177億円に拡大。今回の都市計画決定案に含まれる公共の支出は、再開発事業への補助金38億円から48億円に拡大。複合公共施設整備費用の拡大も合わせて公共投資が100億円前後に膨れ上がることが予測されます。組合施行の「A街区再開発事業」の総事業費6割前後を公共投資によって賄う事実上の官民一体事業です。再開発事業の都市計画決定手続きとその議論は、公共施設整備計画を切り離すことは出来ず事業計画の実態に合わせ議論が必要であることを述べたうえで意見陳述します。
(都市計画決定で、公共施設導入を規定事実化、中身は後から)
再開発事業の都市計画決定事項には、区域や建築物全体の規模や用途等を対象とし、建物用途ごとの内容や事業費の内訳、複合公共施設の規模も事業費も計画決定事項外としています。広報取手にあたかも決定された如くの「図書館等複合公共施設整備計画」の内容が掲載され、「いつの間に決まったの」と市民から驚きの声が上がりました。市は、「市としての方針をお知らせした、これから、基本構想・計画を検討する」としています。再開発ビルに公共施設導入の枠組みだけは、都市計画決定で規定事実化とし、中身は後から検討では、まったくつじつまが合いません。行政運営のルール違反との批判は免れません。
(A街区再開発事業参加地権者は20人から8人、さらに減少か)
A街区再開発事業参加者は、当初予定の20人から8人に減少し、計画区域面積は7000から6000㎡に、所有する土地面積の比較的少ない地権者の不参加が多いようです。都市計画決定来年早々の予定を前に参加地権者8人がさらに減少する可能性が起きているなどの声もあり不安定な状況があるとのことです。土地を床に変えるいわゆる「権利変換」で取得する床面積が少ない小地主の皆さんの中に、事業参加よりも売却した方が有利にとの迷いもあると聞きます。
大地権者も合わせ準備組合8地権者の中に本計画自体への納得と同意が得られていないとのことが各方面から寄せられています。再検討・見直しが必要です。
(A街区再開発事業の情報公開なく、市民不在の複合公共施設整備計画)
市民には、再開発事業についての十分な情報も開示されず、公共施設導入への市民ニーズも不明です。都市計画決定で、目的不明の「公共公益施設」導入の枠組みだけが決定されるという市民不在の進め方に市民の賛同は得られません。
必要とする公共施設は、市民の意見を取り入れ、取手市所管の教育委員会などの検討により、基本構想・計画が策定されるべきものです。再開発事業の主要な一部を占める公共施設整備に関する市民の合意形成が行われた上で、都市計画決定手続きというのが計画を進める当然のルールです。まず箱を買って中身はこれから十分な検討という目的不明の公共施設整備計画は改め、本都市計画決定手続きは改めるべきです。
(住民参加の機会拡大を要請する都市計画運用指針)【この項は、公述人1番の主張と重複するため、口述せず】
都市計画決定手続き等について、都市計画運用指針は、「都市計画法による公聴会・説明会開催は、都市計画の案の段階でも住民の意見を出来るだけ反映させる趣旨」とし、「公聴会の開催が形式に流されることなく、真に住民の意見を反映させる場として機能させる」。都市計画の決定手続きは、住民等から幅広い意見を踏まえて、公正・透明な審議を通じた判断が必要としている。運用指針はまた、都市計画の構想段階のより早い段階から検討内容を開示し、市民参加を進める取り組み、客観性、透明性を高め、市民の合意を得ながら計画の熟度を高める取り組みが必要」としている。「都市計画決定権者として情報開示の元に、的確に住民意見を聴取する必要があり、事業施工予定者から情報の提供を受け十分な連携を図ることが必要である。としています。
(地権者の合意形成、公正・透明な事業推進に不可欠な情報公開)
再開発事業の決定権者である市は、ひたすら「準備組合の行う事業ですので」と、それを理由に「A街区再開発事業」の内容について議会及び市民への情報開示を拒み続けた。広報取手にトップダウンで発表された「図書館を核とする複合公共施設整備計画」は、「A街区再開発」ビルの一部に整備すると記載するだけで再開発事業の全体像が示されず、やっと全体像が示されたのは、ホームページを除けば、公聴会に向けての説明会でした。「不透明な計画推進」との批判は否めません。地権者はもちろん市民の合意形成は十分な情報公開を行うこと抜きにはあり得ません。
最後に、都市計画法及び再開発法を所管する国土交通省でさえ都市計画運用指針で、都市計画の原案作成段階から、住民参加の機会の拡大、都市計画に住民の意見を十分に反映させることを求めています。「公共の福祉に寄与する」ことを目的とする都市計画事業において当然のことです。まして、今回の再開発事業に、公共施設整備計画が含まれるとなればなおさらです。
以上の事から、決定権者である市長は、〇本都市計画決定案の決定は中止し、地権者の合意と納得に戻づく計画に見直すこと。〇見直し計画作成段階の市民への十分な情報公開を行うこと。また、〇計画決定案に含まれる図書館等複合公共施設の整備計画は撤回し、再開発事業は、純粋民間事業にゆだねることを求め意見陳述を終ります。