「図書館を核とした複合公共施設」を整備する方針の「決定」が、取手市のホームページに載ったのが2月29日。それまでは市議会議員(市議)にも知らされなかったとのこと。多くの市民は「広報とりで3月15日号」で知ることになります。
この「決定」では取手図書館の移設と既存館の廃止をうたっていますが、図書館を管轄する教育委員会とそのことについて何ら正規の検討をしていないことも明らかになっています(市は「教育委員会に説明した」と繰り返していますが、教育委員会で討議・決定した訳ではありません)。図書館関係者の多くも3月15日付の「広報とりで」で知って驚いたとのこと。
市は図書館利用者の声を聞いて決めたとしていますが、二週間のアンケート調査で延べ428人から回答を得、222件の自由記載を分析しただけで、市の資料には「建物や設備に関する意見」68件と「交通に関する意見」22件があったことが補助的資料(*)に紹介されているだけです。アンケートはやり方次第でどのような結果でも導けることは常識です。補助資料にはどのようなアンケートをどのように行ったのかが示されておらず、都合のよい回答だけ拾い出す事が可能です。アンケート期間内の推計利用者数に対する回答数や回答内容から察するに、「今のままで良い」と考える人は回答不要と感じるアンケートだったかと思われ、意見として考慮されていないと考えられます(**)。私たちのメンバーが取手図書館前で「取手図書館が駅前に移転する計画がある」と述べた上で図書館利用者に意見を伺ったところ、十数人中、数人の方から「今のままで良い」「今のままが良い」「移転されては困る」などのご返事を頂いており(その時は「移転した方が良い」との回答はお一人、残りは「どちらでも良い」か無回答)、市民の中に「今のままが良い」という意見は確実に存在します。市のアンケート結果を「取手図書館の移設と既存館の廃止」と結びつけるのは乱暴です。
*:「取手駅西口A街区再開発ビル内複合公共施設整備事業」(現物は【こちら】)
**:アンケート期間の推計入館者数約5800人(令和4年度実績:入館者数115千人、開館日数278日から計算)に対し、回答数428、自由記載数222。
なお、パブリックコメント用に提供されている「取手駅西口A街区再開発ビル内複合公共施設整備事業 基本構想(案)」(現物は【こちら】)ではこのアンケートについて、延べ回答数の数字「428件」と自由記載中の要望的な意見41件のみ記載しています。
「独断専行」と言って良い一方的な「方針決定」です。その「方針」は、いつ、どこで、誰が、どのような権限に基づいて「決定」したのですか?。
図書館は市民の共有財産(コモン)の一つであり、予算の出もとは市民の税金です。市が勝手に「方針を決定」すべきものではありません。共有財産を改廃したり巨額の予算を動かしたりする場合、先ず市がその案を「提案」し、市民の代表として市(市長)と対峙する市議会で内容を討議し(今回は図書館が関係するので教育委員会とも討議が必要)、必要に応じて公聴会やパブリックコメントで市民の意見を聞き、それぞれの了承を得てから「決定」に至るのが筋ではありませんか?。いきなり頭ごなしに「決定」するのは、一方的に過ぎ、手続き違反です。そのような「決定」に正当性はあるのですか?。
この手続き違反、独断専行の「方針決定」に、ごく一部の市議以外、何の反応も、コメントすらしない(できない?)市議会・教育委員会もだらしがありません。しかし納得できない市民がいます。繰り返しますが、図書館は市民の共有財産であり、予算は市民の税金です。市民に説明を求められたのであれば、市にはその経緯を説明する責任があるのではありませんか。
私たちは、市長と教育長宛に、「方針決定」の経緯を説明するよう要請しましたが、説明しては頂けませんでした(今回の「方針決定」には図書館が含まれているため、図書館の管理責任者の教育長にも説明を要請しました)。なぜ説明しようとしないのですか?。説明できない不都合な経緯でもあるのですか?