私たち「取手駅前開発を考える会」では、本年5月18日(土)、「取手駅前開発とまちづくりシンポジウム」を、取手市福祉交流センター1階多目的ホールにて開催しました(パンフレットは【こちら】)。

 ご存じの通り、取手市は3月15日付「広報とりで」に突然、取手駅西口に計画中の民間の再開発ビル(25階建てタワーマンション+5階建て非住宅棟)の非住宅棟に「図書館を核とした複合公共施設」を整備するとの方針を発表しました。このシンポジウムは、その発表を受け、その是非を問い、市民の皆さんにご意見を伺うため企画しました。時間的に厳しく、広報期間を十分取れなかったにも関わらず、100名の方々のご参加を頂きました。また、参加者の皆さんからの質問や意見表明をその場で用紙による投稿でお願いしたところ、捌ききれない程の投稿を頂き、関心の高さが窺われました。ご意見等は今後の活動の参考にさせて頂きます。シンポジウムの講師の皆さん、参加者の皆さんに厚く感謝を申し上げます。

シンポジウム次第

 シンポジウムは取手駅前開発を考える会事務局長の比嘉恒雄氏の挨拶で始まりました。次いで、同会代表の遠藤俊夫氏が、問題のA街区再開発の概要と問題点、今後の「都市計画決定」及び施設開館までのスケジュールについて手短な解説を行いました(資料は【こちら】)。「都市計画決定」とは、その都市再開発計画を行政が(本来は公共の福祉に寄与・増進するかの視点から)審査・決定する事を言い、決定後は後戻りできなくなります。
 その後、講師の皆さんにより、以下の基調報告とパネルディスカッションが行われ、出席者の皆さんからの質疑・討論を経て、最後に総括を頂きました。以下、講師の皆さんのご報告と総括の概要をまとめます。

基調報告

遠藤哲人氏(NPO法人区画整理・再開発対策全国連絡会議・事務局長)
「取手で駅前図書館を考えるー再開発ビル内につくることが『公共の福祉』かー」(レジュメは【こちら】)

 氏は「よその人から見た疑問」として、取手市の「方針」に次の4つの疑問を示され、その内容を批判されました。
1)駅前図書館はほんとうに要るの?。市街地が分散している取手市で、施設を集中することが適当なのか、場所は駅前がいいのか、十分に議論されたのか。
2)パチンコ店の近くにわざわざ図書館をつくっていいのか。風俗営業法では教育文化施設の近くにはパチンコ店は立地できない。市の計画は図書館関係者と十分協議した結果、了承されたものなのか。
3)最小の経費で最大の効果、市民福祉に即した施設配置をするのが自治・地方財政の原則だが、駅前に大きな図書館を持ってくるのは最小経費・最大効果なのか。
4)往々にして、安易に公共施設を引っ張り込む再開発がある。デベロッパー優遇の再開発で、補助金のほとんどはデベロッパーに行き(市民に還元されず)、地権者は土地の大部分を巻き上げられ将来は朽ち果ててしまうビルの床をもらって得になるのか。
 その上で、「都市計画決定後は後戻りできない。その前にこの計画が、ア)市民みんなで決めた計画なのか、イ)みんなの切実な要求を実現するものなのか、ウ)他の要望より優先度の高い緊急性のある計画なのか、エ)取手市の財政、駅周辺の環境は大丈夫なのか、などの点を改めて検討しておく必要がある」と総括されました。

パネルディスカッション

小池信彦氏(元公益社団法人日本図書館協会理事)(レジュメは【こちら】)

 氏は、「図書館は賑わい創出の核となるのか」との問いから話を始め、図書館づくりの基本的考え方などを解説された上、図書館は地域を支える情報センターであり、賑わいを創出できるかは市民や行政が図書館に何を求め、どのような活動をするかにかかっているのではないかと指摘されました。一つの例として調布市立図書館の活動を詳しく紹介され、図書館をどう活用するかは、地域の意識が重要なことを浮き彫りにされました。また、図書館活動を支えるには人手が必要とのことで、総括では人材の育成を強調されました。

加増充子氏(取手市議会議員)(レジュメは【こちら】)

 氏は、現在の西口開発が無駄な時間と巨額な経費を費やしてきた経緯と、それが市の財政を圧迫してきたことを市の関係者すら認めていることを明らかにされ、開発優先を批判されました。また、市の「方針」については、それで賑わいが作れるのか、公共施設が必要なのか、それが図書館で良いのか、総事業費143億円の民間開発ビルに80億円の公共投資は妥当か、厳しく批判されました。総括では、西口再開発は見直し、市は取手をどうすれば活性化するのか真面目に検討すべきだと指摘されました。

竹内有子氏(戸頭から市制を考える会)(レジュメは【こちら】)

 氏は、2020年に市が戸頭北保育所の廃止を一方的に進める姿に市政の実態を見て「このまま終わりにできない」「黙っていない市民になろう」と、会を立ち上げた経緯を紹介されました。また、戸頭公民館を中心とした市民の活動を紹介され、駅前一極集中の開発で立派な図書館ではなく、各地区の公民館や図書室への整備こそが必要ではないか、と市の開発を批判されました。総括では、駅前開発は市全体の問題なので、もっと広く市民の声を聞いてほしい、と主張されました。

会からの訴え

 プログラム終了後、取手駅前開発を考える会では次の二点を参加者の皆さんに訴え、終会としました。
1)「会」では、市の「図書館を核とした複合公共施設」の整備計画の方針決定の経緯と内容詳細について、市民を対象とした説明会を行うよう、市長・議会・教育長など各方面に働きかけています。説明会が実現した際にはぜひともご出席頂き、市にご意見をぶつけて頂きたいと思います。
2)同件について、以下の二件の請願を準備していますので、ご協力をお願い致します。
 ・取手駅西口A街区再開発事業の再検討を求める請願(請願書は【こちら】)
 ・取手駅西口再開発事業に係る「図書館等複合公共施設整備計画」基本構想に関する請願(請願書は【こちら】)

参加者の皆さんからの

 休み時間もほとんどない慌ただしいスケジュールだったにも関わらず、参加者の皆さんからは多くのご意見、ご感想を頂きました。その一部をご紹介します(皆さんからの声は【こちら】)。